ドメーヌ・ジャン・ラフェ(モレ・サン・ドニ村)
ここのオヤジさんの噂は、訪問したお客様達から、かねてから聞かされていました。
「とにかくポンポン開けて、どんどん飲ませる。」 ・・・その真相を確かめるべく、いざ! 同じ村で7年前からソムリエをしていながら、一度もお会いした事がなかったので。 私の勤務先のホテルでも、数年前までドメーヌとの取引があったのです。 ラベルのデザインの元となった母屋、見覚えのある家を見ながら玄関に向かうと・・・。 ジャンさんは、私達を台所のようなところに招き入れてくださいました。 流し台があり、暖炉の上にはいくつかのオブジェ、無造作に置かれたダンボール箱、 古びたビニールのテーブルクロスが掛かっていて・・・普通の老夫婦の家という感じ。 まずは、シャンボール・ミュジニー2001年から試飲。いきなり古いヴィンテージだなと 思ったら、ジャンさんはすでに引退されていて、2001年が最後の年だったのだそう。 すでに飲み頃に達した、何とも心地の良い、丸みのあるワインです。 次は、ジュヴレイ・シャンベルタン1998年。前のワインよりも、まだ果実味が残っていて ちょうどジャムのように煮込んだフルーツの香り。 ゆっくり、ゆっくり、味わいながら飲む私達を、嬉しそうに見守るジャンさん。 「アンタのお客さんの生まれ年は?」 「・・・そんな事・・・意外にいってるので言えないとおっしゃってますケド。」 「教えてくれたら、いい事があるかもしれないんだけどなぁ。」 「え~?じゃぁ、72年だそうです。」 ←通訳しながらビックリ。私より若いじゃないですか。 「よし!それじゃ、ちょっと待っててね。」 ブィーンと車を飛ばして、出て行ってしまいました・・・! きっと72年を出してきてくださるのだろうと予想はつくものの、いったい何処まで行くのさ? 5分後に戻ってきて、「はいよ、シャルム・シャンベルタン72年。」 「あ、開けるんですか?数少ない貴重なストックなんでしょう?」 「喜んで飲んでくれる人に、開けるんだからいいんだよ。さぁさぁ、飲んで飲んで。」 1972年というのは、ヴィンテージチャートでは良い年とはされていませんよね? 「いつも、酸味とタンニンのバランスに気をつけて醸造するんだ。だから平凡な年でも 長持ちするワインを作ることはできるんだよ。72年は、僕にとっては良い年のひとつ。」 「この年は、米国人がブルゴーニュワインを大量に買い始めた年。忘れられないね。」 30年以上にわたって、ご自身のワイン造りを続けられ、今はご隠居の身になっても 息子さんの隣で見守っているオヤジさんの言葉は、ひとつひとつに歴史を感じます。 最後に、シャルム・シャンベルタン1985年。 これは驚きました・・・古酒マニアでもなく、現地にいると日本より飲む機会の少ない私でも (日本の輸入業者さんは、古酒を買い漁っていますからね)、驚くほどの美味しさでした。 滑らかな口当たり、しばらく口に含んでいると甘い果実の香りがまだ感じられる若々しさ、 余韻もとても長くて、まさに完璧な状態。 美味しい、美味しい、と言いつつ飲んでいると、ジャンさんにも伝わったのでしょうね。 お代わりどうぞと勧められましたが、イエイエ・・・運転もありますし、残りはご家族や友人と 一緒に飲んでください。何本か購入させていただいて、温かい気持ちで蔵を後にしました。
by casteltresgirard
| 2009-07-17 18:22
| ドメーヌ訪問と出逢い
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