ソムリエの仕事の醍醐味

ソムリエにもいろいろありますが・・・ワインショップの店員さんも「ソムリエ」ですし
最近では、ソムリエ協会の資格を取った人は、自身で「ソムリエ」を名乗りますよね。
それでも私が、時間的にも報酬的にも一番ツライとも言える「レストランのソムリエ」
の仕事を続けているのは、なぜなんだろう・・・。

普段は、あまりオイシイ仕事とはいえず、ボトルの底にちょっと注ぎ残したワインを
裏でチビチビいただくくらいが楽しみですが・・・(笑)、たまにその答えが見えることが
あります。遅くまで頑張って働いて良かった~と思えるサービスがあります。


今晩は、日本からのお客様がディナーに来てくださいました。
ずいぶん前から、メールで個人的にやりとりもして、スイートルームに3泊してくださる
大切な大切なお客様。どんな方なのかは、いつも直接お会いしないと分かりませんが
そのご夫妻は、店内をブラブラ歩いていた当ホテルのオーナーに、いつの間にやら
サイン帳を渡していたようで・・・。

オーナーからのメッセージの隣りに、シェフの遊び心たっぷりのお絵かき(!?)と
「目で楽しんで、舌で味わって」のメッセージが。素敵なアイデアですね、とお話を聞くと
レストランへ行かれるとき、旅先で出逢った人に、いつも言葉を残してもらうのだとか。

恥ずかしがりで絶対に客席に出ないシェフも、厨房から「どうだった?どんな反応?」と
めちゃくちゃ嬉しそうにしていました。


もう一組の素敵なお客様は、おそらくドイツ人かベルギー人と思われる男性2人組。
流暢なフランス語で話しかけてくださったので、いろいろと会話が弾んだのですが
今日がヴァカンス最後の夜だそうで。

「サンジャック・コンポステルの道」という、巡礼の道があるのは、ご存知ですか?
スタートは、ヴェズレイであったり、プイィ・シュル・ロワールであったり、4箇所ありますが
その道は1本になり、フランス西海岸のバイヨンヌの近くを通って、スペイン北部まで・・・。
全ての行程を歩き通すと、1300kmにもなるのだそうです。

私の亡くなった伯母(正確に言うと、主人の元妻の伯母・・・それなのに私には優しくて)が
この「コンポステルの道」を歩く人でした。もちろん一度には歩けないので、休暇のたびに
巡礼路の一部を歩き、20年間くらいかかって全行程を踏破したのです。

そんな話をお客様にすると、私の知らない「プィィ・シュル・ロワール」の町の風景を
デジカメで見せてくださいました。

「歩いてるときはね、他の雑念は全て消え去っていくんだ。心が真っ白になるよ。
そしてこの風景、何の変哲もない石畳の道だけれど、道端の花とか遠くの山とかさ・・・」
彼らも、1週間のヴァカンスで100kmちょっとくらい歩けるそうです。私もまだ間に合う!?


自分が普段考えもしないことを、いろいろなお客様から教えていただけることが
このお仕事の醍醐味かな・・・気付いたら一晩中しゃべりまくって、口が疲れていることが
心地よい疲れだったりして、なんて帰り道に思いました。
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by casteltresgirard | 2009-06-09 23:39 | ソムリエの独り言
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